言語と文学はIB(国際バカロレア)のグループ1の科目であり、第一言語の文学と言語の両方の側面を扱います。
私は2022年11月試験で、日本語の言語と文学 SLでは最高評価の7を獲得しました。
しかし私自身IBを始めるまでは、小説を一冊しか自分で読み終えたことのないほど文学や言語に興味がなく、文系的センスが皆無でした。
また、試験四ヶ月前に行われたMockでは、Paper1で20点満点中7点という7段階では4に相当する点数も取っていました。
今回はそんな文系落ちこぼれな私が7を取るために行った勉強法を解説していきます(コロナ対応でPaper2がなかったためPaper1にのみ焦点を当てます)。

日頃の勉強法
小説に関して
言語と文学では少なくともSLで4冊、HLでは6冊の小説を読まなければなりません(実際は私は6冊授業用に読みました)。
IBを始めるまで小説にほとんどノータッチだった私は小説を読むこと、理解すること自体に苦労しました。
まず小説を読むことに関しては、他の人よりも多くの時間をかけてでも良いので、自分のペースで読むことを心がけました。
これは、言語と文学の試験では即興で何か文学を読まされるということはないため、文学作品をどれだけ早く読めるかよりも深く理解し分析できることが重要だからです。
また小説の理解に関しては最初は理解ができていない部分があったりしましたが、課題や他の人との議論を通して軌道修正していくことを心がけました。
これに関しても最初は理解が浅くても最終的な理解が試験では評価されるため、最初の理解度は気にしなくて良いです。
後は小説を多く読んでいくことで慣れてきます。
エッセイに関して
次に言語と文学の授業で苦労したことはエッセイの執筆です。
というのもIBを始めた頃は、エッセイの構成の仕方や小説のどの部分に焦点を当てて話を広げていけば良いのかわからなかったのです。
これに関して、私はある特定の方法でスキルを伸ばしたというより、とにかく実践と振り返りを通して身につけていきました。
まずは自分なりに書いてみて、先生や友達からの指摘を受け、振り返りにより次に書くエッセイは前回のものよりも良いものにすることを心がけていました。
また、授業を通して論文や他の生徒のエッセイを読んだりすることもあるので、それらからもライティングのスタイルに関してたくさん学ぶことができました。
分析に関して
IBの文系の授業で高得点を取るには誰もが分かるような表面的な理解で終わるのではなく、洞察力のある分析をしなければなりません。
言語と文学では私はこの「分析」に最も苦しみました。
まず当初、私は何が言語と文学における「分析」といえるのかすらわからなかったため、論文や他の生徒のエッセイを読み、そもそも「分析」とは何かを自分で認識しました。
そして分析する際は、常に疑問を投げかけるようにしました。
考えてみると、小説には無数の謎があります。
「なぜポリフォニー小説なのか、その効果は何か」「Aという登場人物はどんな役割をしているのか、なぜ必要なのか」「なぜ筆者はそのテーマを選択したのか」など細かく考えると切りがないです。
疑問を浮かべた後は、さらに深めていけるものを選びそれに関して、文献を読んだり小説中の抜粋を用いたりしながら論を作っていきました。
慣れてくると自分なりの分析の型が見つけれると思うので、それを使っていくと素早く分析できるようになってきます。
Paper1に向けての勉強法
自分に適した戦略を作る
言語と文学のPaper1では2つの初見の非文学テクストが与えられます。
そして「テキスト内の言語表現と画像は〜のメッセージにどのような効果をもたらしていますか。」というような考察を促す問いに基づいて原稿用紙3、4枚ほどの分析を書いていきます。
SLでは2つのテクストから一つ選択でき75分与えられ、HLでは2つのテクスト両方を105分で分析します。
これはSLの人限定のアドバイスになりますが、試験を受ける前にあらかじめどちらのテクストで分析を書くのか決めておくことが高得点を取る上で有効です。
というのも、どのテクストタイプが出題されるかは事前にわかりませんが、過去4回の試験ではいずれも文字メインのものと画像と文字を合わせたものの二つが出題されています。
あらかじめ決めておくとそのテクストタイプにフォーカスしてより時間をかけて対策ができるため、高得点を狙いやすいでしょう。
ちなみに私は、画像と文字を合わせたテクストを試験で解くことを決めており、試験対策でもそのテクストタイプの問題に焦点を当てて練習していました。
自分の型を決める
モックでは私は20点中7点という点数を叩き出しましたが、その時の最大の原因は自分の「分析の型」がなかったことでした。
この「型」というのは具体的にはエッセイの構成と着目点に関してです。
Paper1では20点満点中5点を構成に関する評価占めているほど構成が重要です。
そしてPaper1の試験中に構成を一から考えるほどの時間はありません。
私は、1段落目にイントロダクション、2段落目に画像の分析、3段落目に文字の分析、4段落目に画像と文字の相乗作用の分析、5段落目に結論のような大まかな型を作っていました。
もちろん常にこの構成ではなく、あくまでこれを目安にテクストに合った構成を本番で作っていました。
そして分析に関しては他の人のエッセイを読んだり、練習の中で見つけた着目できる点をGoogleドキュメントにまとめ、それらを自分の引き出しにしていました。
例えば、私の場合は修辞技法やトーン、画像の色や配置、文章の構造などに着目するようにしていました。
インターネットでテクストを探して練習を重ねる
数学や化学の問題集のような市販で売っている教材は、言語と文学のPaper1用にはありません。
そのため、私はインターネットでテクストを見つけて自ら授業外で対策をしていました。
主に読売広告大賞(https://adv.yomiuri.co.jp/adv/award/yaa/select/works/35/index.html)の過去の受賞作品や新聞広告データアーカイブ(https://www.pressnet.or.jp/adarc/index.html)から広告を見つけて自分で分析を書いていました。
この際に意識したことは、できるだけ多種多様な広告を使って分析をすることです。
Paper1で出る広告は画像が中心で文字が少ないものもあれば、文字が多く書かれているものなど多く種類があり、さらに使われる画像もトリッキーなものであったりします。
どんな広告が出ても対応できる力をつけるためにもさまざまな広告に触れて練習することが重要です。
先生からアドバイスをもらい振り返る
広告を自分で分析しエッセイを書いた後は、常に先生に見てもらい、改善点などを指摘してもらうようにしていました。
そして、その後ノートに良かった点(これからも続けること)とこれから改善することを箇条書きでまとめ、前回よりも高得点が狙えるエッセイを書けるように振り返っていました。
数学などは定まった答えがあるため、自分で問題集を解くことで勉強できますが、言語と文学にはそのようなものがないため、先生にアドバイスを求めることがスキルを伸ばす上で最も効率的だと私は思います。
また振り返りの際は、評価の際に使われるルーブリックを参照し、より上の点を付けられるには何が足りていないかを分析していました。
作品を作る立場に立って考える
洞察力のある分析を書く上で、テクストを作った人の立場に立って考えるという思考法はとても役に立ちました。
例えば、私が受けた試験ではバスケットボール日本代表の試合の広告(https://www.pinterest.jp/pin/575405289897251902/)が出題されましたが、自分がこの広告を作る立場になってみると、真ん中に配置する選手や選手のポーズには無数の選択肢が合ったことに気付けます。
そしてではなぜ、作者はあえてこの特定の写真を選び配置したのか、それはこの広告にどのような効果をもたらすのかといったことを分析することができました。
このように、テクスト作る立場に立ち、「なぜあえてその選択をしたのか」を考えることは、どのテクストにおいても使える分析方法なのでおすすめです。
